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地元生産者・食材
2019.06.30
LiV × LiVEs Part6:しまカフェ〈草野結実/musubi cafe、豊福未紗/フィッシャーマンキッチン、成田由子/エンジニア〉
執行 沙恵

月に一度、さまざまな一次産業に関係する人たちとカウンター越しに語り合うLiV×LiVEs(リヴ×ライブ)。毎月変わる一夜店長。普段なかなか知り合う機会のない彼らが、どんなことを思い、どんな仕事をしているのか、生の声を酒の肴に交流を楽しむイベントです。
今回の一夜店長は宗像市の大島で新しく活動を起こしている、3人のパワフルな美人ママさんたち!
今夜の突き出し

今回はおつまみに、なかなかお目にかかれない大島の幻のピクルスを出していただきました。農業をするために大島に移住した家族が作っている、「じゃがいものピクルス」です。洋風と和風の2種類があるのですがどちらもものすごくおいしい!!小さい玉のじゃがいもで、一度蒸したものをピクルス液につけてあるので中まで液が染み込んでおり、食感も新しく絶品です。
自家・自然栽培のじゃがいもで一瓶一瓶丁寧に作っているため一度にたくさん作ることができず、今のところ大島でしか手に入りません。販売自体も不定期で、大島の小夜島の近くに出現するという噂ですがなかなかお目にかかれないそう。
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気になる方はInstagramで「そらまめ農園」と検索してみてください!一瓶600円です。
今日のオリジナルカクテル

ピーチベースのリキュールと青いシロップに大島のフレッシュな甘夏を添えた鮮やかなカクテル。甘夏の香りが良く、大島の澄んだ海を連想させます。スイスイ飲めてしまうカクテルでした。
本日の一夜店長
この日カウンターに立ったしまカフェの3人は普段どんなことをしているのでしょう?簡単に自己紹介していただきました。
豊福美紗さん
豊福さんは宗像市久原の出身。結婚を機に大島へ移住し、3児を育てています。漁師である夫が釣り上げた新鮮な魚をフライにし、くすの木園で製造したパンで挟んだ「漁師サンド」を、販売用に改造した軽トラックで移動販売しています。手作りのタルタルソースとサルサソースは絶品!市内の祭りなどのイベントに出店したりもしています。
草野結実さん
草野さんは生まれも育ちも大島で、3児の母。大島にはもともと気軽に食事のできる店が少なく、せっかく島に来てくれた観光客がお腹を空かせている姿を目にしていました。そんな「お腹空いた難民」を不憫に思い、「島に来た人が一休みできる場所を」と2016年にmusubi cafeをオープン!甘夏を使ったジュースや地元の食材を使った手作りのメニューを提供しています。
不定休なので、訪れる際は一報入れると確実だそうですよ。渡船場から右手に10分ほど歩いたところにあり、ブランコが目印です。
成田由子さん
成田さんは朝倉市出身。漁師の夫と結婚したのをきっかけに2015年に大島に移り住んできました。福岡市の企業のITエンジニアとして島でリモートワークをしていましたが、出産と子育てのため現在は育児休暇中。移住してしばらくは家にこもっていてそんなに知り合いもいなかったそうですが、豊福さんと知り合ったことをきっかけにどんどん人脈が広がっていったといいます。
実はLiV×LiVEが6/17(月)の開催になったのはこの日が満月だったことが大きく関係していました。満月とイベント開催日に何の関係があるの?
「満月は夫が漁に出られないから、子どもを見ていてもらえるんです」と。いうことで開催日が決定したという裏事情!いかにも島らしい理由ですよね。
“しまカフェ”について

きさくでノリの良い豊福さんと草野さんがお客さんをいじり倒し、それを微笑ましく見守る成田さん。お酒のオーダーがどんどん進み店内はまるでスナックのよう。(笑)「あなたたちがいたら毎日来るよ!」という声も上がっていました。

その合間を縫ってしまカフェのお話も聞くことができました。
どんな活動をしている?
「しまカフェっていうカフェがあるの?」とよく聞かれるそうですが、お店があるわけではなく活動するグループの名前です。グループとしての活動は2017年5月頃から始まりました。
春には甘夏の果汁を絞って業者に販売し、夏には島で行われる竹灯籠祭りの準備などを行っているそう。8月7日の七夕まつりでは補助金を活用して竹灯籠の事業を行い、演出もするそうです。
縁結びのご利益「祈り星」
大島は七夕伝説発祥の地とも言われていて、約800年前から現在まで毎年七夕神事が行われています。縁結びのご利益もあるのだそうですよ。
しまカフェでは「祈り星」についてもアシストしてます。

「祈り星」は同じ色・同じ形状のものがこの世に2つとない、美しいガラスでできています。
宗像大社 中津宮にある天の川へ行って願いを込めながら祈り星を清め、それをお守りとして持っておく。なんともロマンチックなお参りですね。大島に行った際にはぜひ祈り星を手にしてみてください。
役割分担
アイデア出しは主に豊福さんと草野さん、そしてそのアイデアを言語化して書類に落とすのが成田さん、というように自然にそれぞれ適した役割分担になっているのですね。
いろんなお話をかいつまんで紹介

Q.世界遺産の登録についてどう思いますか?
「観光地になれば仕事が生まれます。島に来てもらってお金を落としていってもらえたらとは思いました。子どもを育てながらではあるけれど、負担に思いながらではなく、どうしたら自分たちのやりたいように働けるか、自分たちには何ができるのかを考えていきたいです。」
Q.島って何かと不便じゃないですか?
「島の人たちは今ある状況が当たり前と捉えるので、特に困っているふうではないんですよね。困るという感覚じゃないというか。これは住まないとわからない感覚かもしれないです。(笑)」

Q.大島にあるもったいない資源とかありますか?
「旅館や民宿が余ってて、もったいないなと思います。でも管理する人たちも高齢化してきているし、若い担い手がいないんです。借り入れをして立て直しても返していけるのかという心配から、なかなか手がつけられない状態が続いていますね。」
Q.大島はどんな人にオススメ?
「結構魚が釣れるので、釣り好きの人には人気スポットですよ。一年中何かしら獲れますし、6月今のシーズンはイカも釣れます。」
さいごに
「大島に限らず、宗像はやりたいことを実現しやすいまちだと思います。大島の人たちはフレンドリーで、行政の人も協力的な人が多いです。いろんな人とつながることでそれまで知らなかったことを知れたり、取り組んでいることに生かせることがたくさんありました。これからもこういう機会を大切にしていきたいです。」
彼女たちはこれからもその明るさと笑顔でたくさんの人たちを惹き込みながら、さまざまな活動を仕掛けていくのでしょう。これからの展開にも目が離せません。
取材・文・写真:執行沙恵
※この記事は2019年LiVE KiTCHENで毎月開催されていたイベント「LiV×LiVEs」のレポートを転載したものです。

- 記事を書いた人の情報
- 執行 沙恵
- MOKでは主に記事作成を担当。1986年福岡市出身、宗像在住。市民活動・NPOセンタースタッフ兼、フリーでデザイン/ライターも。臨床検査技師として病理検査室に勤務のち、金融機関で4年営業職を経験しコミュニケーション力を鍛える。NPO法人福岡テンジン大学との出会いをきっかけに自分の住む「まち」との関わり方を考えるようになり、縁あって宗像市の市民活動を支援・コーディネートする現職に落ち着く。2020年に息子が生まれ、海の幸、山の幸、自然環境、さらには人の温かさあふれる宗像の魅力をそれまで以上に感じながら育児を楽しんでいる。育児と仕事をバランスよく楽しむ方法を模索中。 B'zファン歴21年。カラオケと猫とスイーツが好き。