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LiV × LiVEs Part2:川上農園の3代目、耕太さんとしのぶさん姉弟

執行 沙恵

LiV × LiVEs  Part2:川上農園の3代目、耕太さんとしのぶさん姉弟

月に一度、さまざまな一次産業に関係する人たちとカウンター越しに語り合うLiV×LiVEs(リヴ×ライブ)。毎月変わる一夜店長。普段なかなか知り合う機会のない彼らが、どんなことを思い、どんな仕事をしているのか、生の声を酒の肴に交流を楽しむイベントです。

 

二夜目の店長は川上姉弟

今日の一夜店長は川上農園の3代目の耕太さんと、そのお姉さんのしのぶさん。しのぶさんがデザインしたおそろいのTシャツを着て登場です!ネーブルや不知火(しらぬい)、レモンなど、大量にケースで持ち込み準備を始めます。

 

本日限定のドリンク

まずは本日限定ドリンクの仕込みから。ネーブルをザクザク切り分け、リキュールやジュースの割合を調整しながら…できました!川上農園のネーブルをふんだんに使ったカクテル、「川上サンセット」です!見てください、この鮮やかなオレンジ!

川上サンセット

 

スッキリ爽やか!果汁も果肉もたっぷりの贅沢なカクテル。車で来た人でも楽しんでもらえるように、ノンアルコールバージョンの「川上サンライズ」も準備しました。また普段LiV KiTCHENで出しているサングリアは川上農園のオレンジをはじめとしてたくさんの果実が溶け込んだもの。こちらもあわせてオススメです。

 

乾杯!

19時になると「こんばんは〜」と、ぞくぞくと人が集まってきました。今夜は水巻町や、遠いところは大牟田市から足を運んでこられた参加者も!さらに西日本新聞の取材も入り、通常10人ほどでいっぱいになる店内は人でいっぱいいっぱいになりました。みんなで乾杯すると、それぞれの場所で話しに花が咲きます。

人でいっぱいになる店内

 

おつまみは不知火(しらぬい)のドライフルーツ

今夜のおつまみは“完熟・不知火のドライフルーツ”。

飴のようなドライフルーツ!ネーブルとレモンを添えて

 

川上農園自慢の完熟不知火を専用の乾燥機で20時間かけてじっくり乾燥させたもので、見た目はカリッとしていますが食べるとまるで飴のよう!砂糖を一切使っていないのにこの甘さは驚きです!素材そのものの甘さがギュッと詰まってやみつきになりますよ。
こちらは道の駅むなかた赤馬館、光岡の交差点付近にあるかのこの里などの店頭で販売される予定ですが、今夜は特別に先行販売。「買いたいです!」「私も欲しい〜」とすぐに品薄になっていました。お店で購入したいときはこのしのぶさん作のポップが目印。

川上農園の商品はしのぶさんお手製のポップが目印

 

ところで「不知火(しらぬい)」という名前、聞いたことありました?というか読めました?そんなの知らないなーという方は、あれです。見た目はデコポンです。じゃあデコポンでいいじゃん!と思っちゃいますが、実はデコポンは熊本産のものにしか使えない名前なんだそうです!
はじめて知りました…。みかんの世界もかなり奥深そうだ。

ドライフルーツの商品 1袋/15g ¥300
アイ・ラブ・みかん!!

 

ロゴやポップのデザインは全てしのぶさんが手がけています。ロゴにはモグラ盛り上がった土虫にかじられた葉っぱなど、川上農園を象徴とする要素が散りばめられたデザインが施されています。さてそろそろ、川上農園がどんな農家なのか?見ていきましょう。

 

川上農園って?

地元の人ですら秘境と呼ぶ、南郷地区の大穂(おおぶ)。その他、山田田島に川上農園はあります。みかんがメインですが、他にもお米ブルーベリーも作っています。
一番のこだわりはなんといっても50年近くかけて作られた「土」!除草剤を使わず、手間ひまかけて手作業で草を刈り取り、それを肥料として活用しているそうです。なのでミミズもモグラも住める土はふっかふか。みかんにも艶を出すためのワックスや防腐剤は使っておらず、「自然の力で作っているので他と味が違います!」と耕太さんも自信満々。

本日のお題は「みかんについて」

 

9月下旬から11月にかけて収穫される温州みかんは地元の学校給食で食べられているのだそう!自然の力で手間ひまかけて作られた川上農園のみかんはとっても甘いと評判です。こんなおいしいみかんが給食で食べられるなんて幸せですね!

 

3代目への代替わりは?

本日のお題は「みかんについて」

 

お客さんがカウンター越しに二人に質問を投げかけます。

Q.『もうお父さんは見守る側に立っていて、完全に耕太さんやしのぶさんに代替わりしている状態なんですか?』

「いやーまだまだですよ。耕太には失敗させたくないみたいで、やっぱり心配なんでしょうね。近くで見ていてもすぐ代わろうとするんですよ」としのぶさん。

お米も作っている川上農園。あるとき耕太さんが運転する耕運機が田んぼにはまり、車体が大きく傾きます!それを見ていたお父さんと姉弟のやり取りがこちら。

お父さん 「耕太ー!!(運転)変われーー!!
耕太さん 「変わらーん!!」(車体傾いたまま)
しのぶさん「変わらんでよかー!!もうお父さん、耕太も失敗せんと身につけていかんのやけん、なんでも手出したらいかんよ!」

こんなやりとりが広い田んぼを挟んで行われているんだそう。容易に想像できて、なんだかほっこりしますね。笑

「すぐあれこれと口を出したがる父だけど、もう70にもなってきてさすがに身体が動かなくなってきてる自覚もあるみたい。そろそろ完全に引き継がないといけないとは思ってるんでしょうけどね。いつまでもお父さんは“お父さん”でいたいんでしょうね」としのぶさんは顔をほころばせます。

 

Q.『農業をしていて大変なことは?』

「草刈りは地味に大変ですよ。そこがこだわりではあるんですけど(笑)」と耕太さん。「でも昔に比べて気候が変わってきているのはありますね。雨も降って欲しいときには降らなくて、降らなくていいときにはこれでもかってくらい降る。気候が変わってきたのは仕方ないから、自分たちはそれに対応しながらやっていくしかないですよね。極力笑いながら、元気に生活していけたらいいかと思ってます」と笑顔で答える耕太さん。

カウンター越しにも話が盛り上がります

 

親父さんが先代から受け継ぎ自信をもって作り上げてきた土とみかん。
近年の環境の変化に耐えながらも、それを真摯に引き継ぐ耕太さん。
得意分野で広告を手がけ、Facebookなど情報発信するしのぶさん。
しのぶさんのポップデザインをTシャツなどに転換したり、ネット販売での営業を応援するしのぶさんの夫。

川上農園はまさに家族総出でそれぞれの持ち味を活かして経営を行っているのです。
「仲がいいからね、仕方ないね。でもケンカが絶えんよ!」と笑いながら話す様子は、聞いているみなさんも笑顔にさせるのでした。

 

さいごに

終始楽しそうな二人

 

はじめて一夜店長をしてみてどうだったか、お二人に感想を聞いてみました。

 耕太さん
「ドライフルーツなど美味しいので商品として出してますが、内容量と価格が適正なのかって生産者側からはよくわからなくて。そういうのも直接聞けるのがいいですよね。」

しのぶさん
「普段は仕事関係の人以外の人達との関わりがないので、こういう機会ははじめてで新鮮でした!草刈りなど手のかかるやり方で農園をしているから、喜んでくれる人の顔が見えて、それが肌身で感じられるとこれでまた頑張れるって気持ちになるし、この達成感がやりがいに変わります。カクテルなどにして加工したものを直接渡したこともなかったから、楽しかったです!交流をもてたことが嬉しかったです。」

 

確かに、普段の生活の中で一次産業に従事する人はそれを買って食べる消費者と関わる機会がほとんどありません。逆もまた然りで、私たち消費者も店で買う農作物や魚や肉が、どんな人たちの、どんな想いから作られているものかを知る機会がほとんどありません。

 

【LiV×LiVEs】ではこれからも、そんな一次産業に関わる人たちと交流できる場をつくっていきます。この場を通してもっとたくさんの人に、想いを込めて市場に食材を提供してくれている人たちの想いを知ってもらえたら、何かが変わっていくかもしれません。

 

取材・文・写真:執行沙恵

※この記事は2019年LiVE KiTCHENで毎月開催されていたイベント「LiV×LiVEs」のレポートを転載したものです。

執行 沙恵
記事を書いた人の情報
執行 沙恵
MOKでは主に記事作成を担当。1986年福岡市出身、宗像在住。市民活動・NPOセンタースタッフ兼、フリーでデザイン/ライターも。臨床検査技師として病理検査室に勤務のち、金融機関で4年営業職を経験しコミュニケーション力を鍛える。NPO法人福岡テンジン大学との出会いをきっかけに自分の住む「まち」との関わり方を考えるようになり、縁あって宗像市の市民活動を支援・コーディネートする現職に落ち着く。2020年に息子が生まれ、海の幸、山の幸、自然環境、さらには人の温かさあふれる宗像の魅力をそれまで以上に感じながら育児を楽しんでいる。育児と仕事をバランスよく楽しむ方法を模索中。 B'zファン歴21年。カラオケと猫とスイーツが好き。
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